しかし、彼の研究の着目点はいじめ問題の原因で、各時期におけるいじめ問題の背景、特徴及びいじめの変遷についての考察も足りていない。
中国の研究者も日本の学校のいじめ問題について検討している。
師(2010)は大量の資料分析し、日本の学校のいじめ問題の状況を表した。しかし、師の研究は従来の「いじめ」に関する議論と同じく、「いじめっ子」や「いじめられっ子」本人の個人的特性や家庭環境、学校側の要因、経済などの属性にその原因を求めた。
羅(2011)は、日本の自殺を尊ぶという伝統文化も一定の学校のいじめ問題に影響を与えたと指摘した。
蘭(2010)も同じような考えを持ち、日本の武士道精神や日本の道徳教育の混迷も日本の学校のいじめ問題に影響をもたらしたと指摘している。
いじめによる弊害をまとめたのは、王(2014)である。来`自^751论*文-网www.751com.cn
だが、日本の多くの研究者と同じように彼らは、いじめ問題の変遷についての考察をしていない。
彼らの着目点と違う史(2014)は、戦前から近年までの日本の暴力問題を分析した。日本の学校のいじめを原発状態、散在化、普遍化、総爆発と新動向という四つの時期に分け、各時期の学校のいじめの背景、特色、及び各時期の政府の対策を整理した。
3. いじめの定義の変遷
いじめの定義については、 『青少年白書』による定義が、公的な定義として学校現場で依拠され使用されてきた 。1993年までは、いじめを「①自分より弱いものに対して一方的に、②身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、③相手が深刻な苦痛を感じているものであって、学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの。」とする。
1994年から2005年までは、「なお、起こった場所は学校の内外を問わないものとする。」との一文がつけ加えられている。この規定によりいじめを広く学校外のものも含めようとしていることがわかる 。