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2.2 推理小説について
推理小説とは、主として犯罪に関する秘密が、論理的に解明されていく過程の興味に主 眼とする文学である。要するに、謎解きに重点をおく小説を指す。第二次世界大戦以前は
「探偵小説」の語が用いられていたが、「偵」の字が当用漢字制限を受けたために省かれ
た。
推理小説には本格と変格、二つの区別がある。甲賀三郎によって作られた「本格推理小 説」と「変格推理小説」の説明に関して、以下のようになる。
「私が探偵小説の名から排斥しようというのは、所謂変格探偵小説として、探偵は勿論 犯罪らしきものさえないものをいうので、之等のものは後に論ずるように、宜しく他の名 称を附すべきであると信ずるのである。论文网
本格探偵小説というものは、要するに犯罪捜査小説であり、それに適当な謎とトリック を配し、読者に推理を楽しませるものであり、一面からいえば、文学としては幼稚で窮屈 で、千篇一律的のものである」4。
このように、甲賀三郎が定義した「本格推理小説」というのは、推理小説という種類の 中の一部ではなく、推理小説そのものを指していることだと思われる。つまり、当時では 推理ストーリーだけでなく、幻想小説、犯罪小説、ＳＦ小説など、探偵小説とは言えない ものも「探偵小説」と読まれていた。それ以外のジャンルを区別するため、「変格探偵小 説」と呼んだわけである。
現在では、「本格」はそのまま使われ続けたが、「変格」は本格から少し外れたジャンル の作品を指すことが多い。要するに、謎解きを中心とする本格推理小説以外の推理小説は、 全部変格に属する。
変格を詳しく分類すれば、おおよそ次の七つにまとめられる。
種類 特徴
倒叙推理小説 本格物を全く裏返ししたもので、犯人とその犯行が冒頭ではっきり示さ れ、次に探偵或いは探偵役のキャストが登場して、犯人を推理するとい う構成の作品のこと。したがって読者の興味は「犯人は誰か？」ではな く、探偵がどうやって完全犯罪のトリックを見破るかという推理の過程 に置かれる。
ハード ボイルド アル・カポネと禁酒法が象徴する狂乱の 1920 年代の末期、アメリカに 登場した流派で、ヒーローである私立探偵の強烈な個性、簡潔でスラン グを多用した独得の文体、非感傷的なタフ・ガイの孤独な世界などが特 徴で、トリックは重視せず、リアルな人物描写が作品の根幹となってい る。来`自^751论*文-网www.751com.cn
スパイ・ スリラー 第一次世界大戦前の英独間の国際謀略に取材した型のスリラーに始ま り、とくにこの分野はイギリスの独壇場である。この二大国間の抗争と いう図式は、その後もアメリカとソ連の謀略戦という形で引き継がれ た。犯人と探偵にかわって、ここで知恵比べをするのは、スパイとカウ ンター・スパイである。
サスペンス 小説 事件の謎解きと並行して、登場人物の心理的なスリルやサスペンスの描 写に重点を置いたもので、独創的なトリックの枯渇に対応して出現した 推理小説。
法廷小説 法廷が舞台となり、被告の無実を証明する弁護人と検察側が丁々発止の 論戦を交え、とくに弁護人の巧みな反対尋問が見どころの一つとなる。