異界は一般的に現実的な世界と違い、変わっているイメージである。『1Q84』における「並行世界」の中には、「空に浮かぶ二つの月」、「リトル・ピープル」などの新たなイメージがあり、しかも、それらのイメージは現実的なものを象徴している。村上の小説を読んでいるうちに、筆者は異界の変わっているものに心を引かれただけでなく、主人公ら自分の精神体験と成長に関心も持った。村上の作品が世界各地の読者に好まれるのは、人々に共感を呼ぶことができるに違いないためである。文学は人間の心を探すものだと言われる。
異界を通じて、作品の物語の背景、主人公らの性格及び人生の体験を描き出し、多元的な善悪観と分裂的な性愛観を表し、主人公らの救い方を述べた。主人公らはいかなる精神的成長を体験するのか。ただ現実的な世界では十分に説明できないため、異界を通じて村上の作品の主人公らの救い方を研究する必要があると思われる。
本稿は『1Q84』を深く読み、帰納の方法を採用し、そして、異界に関する資料を調べ、整理し、分析する。最後に、現実と非現実を分析し、異界を通じて『1Q84』の主人公らの救い方を研究する。
1.3先行研究
現在、村上文学研究も盛んである一方で、文体の特徴や歴史観など、あらゆる面について論じられることがあるが、小説の中の「異界」に着目する研究はまだ少ない。その方面について研究しているのが、林少華、上沼昌雄、藤掛明、谷口和一郎などの研究者である。
林少華は、村上文学の翻訳者で、村上文学に詳しい。林少華は『落花之美』は、村上文学の源`自·751~文;论:文'网[www.751com.cn「異界」が、文学の芸術を表しているということを解説した。「村上はアレゴリー(寓意)、メタファー(隠喩)の手法を運用して『1Q84』、『羊をめぐる冒険』、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、『海辺カフカ』などの奇異な色彩に富んでいる作品を作った。」 と述べている。しかし、そのメタファー(隠喩)に何の意があるか、林少華ははっきりと述べていない。また、『之于村上春树的物语:从《地下世界》到《184》』の中で、林少華は『1Q84』の「固有的な物語」、「固有的な自我」、「精神の穀」を分析し、『1Q84』が閉鎖性物語を作った主体を抜きにして、この長編小説の社会認識価値と現実批判の強さを弱めることを指摘している。
王玥の『「単一神話論」で読む村上春樹』は、『1Q84』、『羊をめぐる冒険』、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、『海辺カフカ』を対象として、単一神話構造の典型的な要素を発掘し、各要素の表現と心理学上の意を分析する。
王涛の『「1Q84」研究——パラレル・ワールドとその多元性』は、「『1Q84』における二元、多元的な要素をめぐって、小説と現実との関わりを述べ、中心テーマ「善と悪」を分析し、村上春樹のメタファーと主人公の救い方を解説した。主人公らは自由意志で自発的にすべての精神的な囲い込みから逃げ出し、また、愛が人々の自由意志を喚起する大きなパワーとして、人々の心の暗闇に明るい光を照らし、「悪」の世界から離れることになる」 と述べた。
从异界看《1Q84》主人公的救赎之路(3):http://www.751com.cn/riyu/lunwen_55459.html