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    2.3年功主義と能力主義    7
    第三章  日本的雇用の行方    9
    3.1見えつつある日本的雇用制度への回帰現象    9
    3.2日本的雇用の改革と流動化    9
    終わりに    12
    謝  辞    13
    はじめに
     戦後の日本が驚異的な発展を遂げ、世界第二位の経済大国にまで上り詰めたのは周知の通りである。しかし、なぜ日本は奇跡的な高度成長を遂げられたのだろうか。これについては様々の要因が言われているが、日本的経営システム、すなわち、日本的雇用制度が従業員の勤労意欲を高め、企業の発展に大きく貢献したのではないだろうか。言うまでもなく、戦後日本の国民所得と企業利潤が急速に増加したのは、従業員がよく働いたことに起因する。日本的経営システムの特徴として通常挙げられるのは終身雇用、年功序列賃金、企業内組合の三つの制度である。終身雇用制度は企業の発展に不可欠である熟練労働力を獲得するため、あるいは労使関係を安定させるために大きな役割を果たし、年功賃金は企業に長期貢献する労働者の育成に繋がったといわれている。日本的雇用制度は戦後の経済発展過程においては合理的で優れた制度であったが、経済のグローバル化の進展と共に様々な問題が出てきたことも事実である。それを克服し、時代の流れに対応して改革する必要があるが、問題はどのようなものを残して、それを維持するために、システムのどこを改善すべきかを議論しなければならない。
    第一章  戦後の高度成長と日本的雇用の定着
    1.1日本経済の奇跡的成長
     第二次世界大戦により、日本では、310万人の生命が失われ、1,000万人以上の人々が家を失ったといわれた。主要な都市はほとんど焦土と化し、街の至る所に焼け爛れたトタン板を使った急造のバラックが散見された。
     産業は疲弊し、1946年の鉱工業生産指数は10年前の31%にまで落ち込んでしまった。製造工業の生産指数も52%にまで低下し、日本のGNPは米国の僅か4%程度にまで低落してしまった。
     ところが、疲弊した経済を立て直すきっかけは朝鮮戦争の勃発だった。この戦争中、アメリカは戦争に必要な物資を日本に生産させ、大量に購入した為に日本は空前の不景気から抜け出し、復興の足がかりを得ることができた。これを朝鮮特需という。
     この朝鮮特需のおかげなどもあり、1950年半ばには、ほぼ戦前の水準まで経済状態を回復した日本。それからの1954年12月から1973年11月までの19年間は、日本経済が飛躍的に発展した時期である。
     戦後の日本はアメリカ経済を発展モデルに、その廃墟から経済を立て直し、世界で類を見ない驚異的な高度成長を成し遂げた。そして、1968年には、ついに、世界第二の経済大国に登り詰めたのである。日本社会は封建的で閉鎖的であり、また、非合理的であるとのこれまでの批判とは裏腹に、その成長の秘密が日本的な経営システムにあると評価の方向に反転し、日本的経営に絶賛の嵐が吹き起こった。当時、日本が手本としていたアメリカ経済がだんだん衰退の一途をたどり、日本企業の多くにはもう海外の企業から学ぶものはないという態度が強く見られた。どの企業も自信にあふれ、傲慢さが見て取れるほどで、これまでの劣等感が優越感に変わり始めた時期でもあった。
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