宮崎駿を研究する方面では、楊暁林の著書『动画大师宫崎骏』(杨晓林,复旦大学出版社,2009)は重要なものである。この著作は中国国内でははじめて体系的に宮崎駿のアニメ作品を読み取ったものである。その本は宮崎駿の反戦思想の成因と表現に触れているが、彼の作品と結び付けて具体に分析していない。楊暁林の論文『宫崎骏反战思想的成因及表现』(杨晓林,电影文学,2010)の中で、楊暁林はまず宮崎駿の子供時代の経歴、国内の政治の腐敗、国際的な局部戦争、その三方面が宮崎駿に与えた影響から宮崎駿の反戦思想の成因を紹介している。しかし、2004年発表された『ハウルの動く城』は、宮崎駿の反戦思想を物語る極めて重要な一作である。
1.2 研究の目的と意義
先行研究の中には、宮崎駿の生涯、創作、反戦思想の成因と表現、作品の分析などについての研究成果が多いが、一部の作品から宮崎駿の反戦思想を研究する資料は少ないため、『ハウルの動く城』を読み解くことは宮崎駿の戦争観や、戦後の日本社会を理解するのに有用であると考え、筆者はこの作品の考察を進めたい