1.2 先行研究のまとめと新しい視点
流行語は時代、世相を反映するといわれ、風俗、世相史として扱うことは興深くまた関心は高いが、言葉として真正面から取り扱ったものがあまりない。また、明治以降百年間を通じての言葉としての研究もない。
国立国語研究所(1959)の『 ことばの研究』 の中の吉沢典男の「新語.流行語」は第1期 終戦から昭和23年頃まで(日常語即新語.流行語)、第2期 24年頃から27年頃まで(芸能珍語とアプレ言葉の時代)、第3期 28年頃から30年頃まで(トニーグリッシュと新語PR時代)、第4期 31年頃から現在まで(週刊ジャーナルの造語時代)、四つの時期に分けていた。時代の移り変わりにつれて、言葉そのもの変化、作り手の変遷、媒体の変容など、いろいろと載せていた。源'自:751]'论-文'网"]www.751com.cn
佐藤喜代治(1982) は『現代の語彙』 という本の編集者である。この本の中の「現代の新語.流行語」の部分は稲垣吉彦が書いたものである。彼は日流行語の定義説明した上で、流行語の硬軟二つの種類と特質も分析した。最後に、「それなりに」の背景も述べていた。
米川明彦(1989)の『新語と流行語』は二つの特徴を持っている。ひとつは言葉の用例を中心に新語.流行語の世界を見たことである。ふたつには新語.流行語への違和感.抵抗感とその普及、定着、消滅の問題を当時の人々の指摘からとり上げたことである。
王凌(2012)の『透过流行语看现代日本』という本は、婚活、エコ·ポイント、草食系男子、トヨタ·ショック、ワーキング·プア、イクメン、脱ゆとり教育、パラサイト·シングル、年金崩壊、勝ち組·負け組、事業仕分け、医療観光、これらの一つ一つの言葉で章節の目次として本の内容を分け、経済、社会、文化、政治などいろいろ分野に及んでいた。
大塚明子(2003)は『新語死語流行語』という本の中でこのように述べている。「言葉も時代とともに生まれるよね。」また、日本近代化の過程を視野に、メディア、マスコミュニケーション、若者文化、ライフスタイルなどを論じている。世相を鋭くとらえた解説文である。
『現代用語の基礎知識』は毎年11月頃に自由国民社から発行されている。『現代用語の基礎知識2014』はその中の一つである。一般の百科事典は定着した言葉を中心に編集されるのに比べ、毎年、新聞やマスコミ、webをにぎわせる言葉をその都度追加・削除・現代人として必要と考えられる用語にマスコミなどで使われる新語を加えて編集している点が特徴である。
近来、日本の流行語についての研究は次第に盛んでいる。そして、流行語にも重視してきた。毎年もユーキャン新語流行語大賞を行っている。この賞は、1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰する。しかし、今までの研究は単なる言語の面から分析すると思われるであろう。流行語の社会価値とか、社会への影響とか、深く研究することは少なかったようである。本論文は先行研究に基づいて、流行語発生の理由、基本構成手法、社会への影響、および流行語の重要性を中心に、それを探ってみると考えている。