1982年村上春樹は三作目の長編小説の『羊をめぐる冒険』(以下は『羊』と略称する)を発表した。専門作家として初めて書いた小説で、人生のターニングポイントとして世に知られている。実に面白い物語だとは言えないけど、かるい雰囲気で興深いなことを話し続けるの感じが
「私も時々何かを探すことができればと思うんです。」と支配人は言った。「でもその前にいったい何を探せばいいのかが自分でもよくわからないんです。......だから人生というのはそいうもんだと思いこまされてきたんです。何かを探しまわることが本当の人生だというふうにです。( 村上春樹 『羊』 講談社)
人はみんな何かを探さなくてはいけないまえに進むことができないのだ。その時には、時間の流れさえ感じれば、凡庸な日々の過ごすのも悪くないと思う。主人公の僕は自由意志で東京から背中に星のしるしのついた羊を探す冒険をはじめた。
2.羊をめぐる冒険
2.1あらすじ
日本のある右翼組織の脅迫のために、具体的に言えば、当組織の頭の先生の黒服の秘書に脅迫された「僕」は新しいガールフレンドと一緒に東京から背中に星のしるしのついた羊を探しはじめた。それは1978年のことだ。その前に、「僕」は大学友たちと二人で小さな翻訳事務所を始めて、その後だんだんPR誌や広告関係の仕事にも手を広げていた。何故この「僕」が脅迫されたのかと言われると、それが友の鼠からの手紙についた北海道の平凡な風景写真を利用して広告ででてきたからだった。その写真ではあの羊が映されていた。
その羊が人の体内に入ることのできる羊である。そして羊を体内に持っている人間にはもったいないくらい立派なものになれる。1935年の7月にこの羊が満蒙国境近くで放牧の調査中の羊博士と呼ばれている男の体内にはいった。それから一月ぐらい、羊博士が羊とのあいだに「特殊な関係を持った」という噂はひろがっていた。結局、1936年の春に羊博士は「精神錯乱」というレッテルを貼られて日本に送り帰された。源'自:751`!论~文'网www.751com.cn
歴史というのは時間がつながっている。先生も1936年の春を境にして、いわば別の人間に生まれ変わったんだ。そこまでの先生はひとことで言ってしまえば凡庸な行動右翼だった。1936年の夏にA級戦犯の先生は刑務所を出ると同時に、あらゆる面で右翼のトップにおどりでたんだ。次いで中国大陸に渡り、情報網と財産を築きあげた。中国大陸における情報網と交換に釈放された先生が大陸からを持ち帰った財宝をもとに、戦後の経済.政治.情報の暗部を把握した。強大な地下の王国を築いて、その国という巨大な船の船底を支配していた。血瘤の生じたのが羊とのあいだに因果関係はなくて、その上に、羊の影で1978年まで生きてきた。