しかし、実際に使う時に、言語の否定形式は話し手の否定の意を表さないときもある。つまり、言語の否定形式は必ずしも否定の意を表すのではない。二重否定はその一つである。二重否定は広く使われ、日本人の好きな言語表現である。
周知のように、日本は婉曲表現が発達している国である。二重否定はその婉曲な表現の一種として、日本人の思いを婉曲に伝える。二重否定は到底日本人にどのような影響を与えるのか。本論文では、第一部分は否定の定義から二重否定の定義まで検討する。第二部分では村上春樹の書いた「ノルウェーの森」という作品から具体的な二重否定句を例として抽出し、研究したい。
そこから二重否定の構成形式を纏めたいと思う。第三部分は第二部分に基づき、二重否定の強調、婉曲、推測などの語用的意を検討する。最後に、日本文化と結びつき、日本人の礼儀正しい美徳をみようと思う。
1.2 先行研究の整理と本研究の視点
日本語の否定表現を対象として研究する人が多く、特に近年以来、二重否定に注目する人も増えている。
盛会茹の書いた『日本語における二重否定表現の意再確認—『海辺のカフカ』を中心に』では二重否定の構成と二重否定のモダリティについて分析し、自分なりの二重否定の定義を出した。文献综述
賈英華の書いた『二重否定表現に関する―考察――中訳の研究を兼ねて』で「否定に否定」と「否定と否定」を区別し、二重否定表現の認定基準を明確にした。それに、北京日本学研究センタの中日対訳コーパスで中国語の訳文を分析し、中日の二重否定の異同を簡単的にまとめた。それについて、二重否定の表現形式と中日の使う習慣も窺える。
本論文は世界の人気作品『ノルウェーの森』を具体的に分析し、その中から二重否定を抽出し、三つの構成パターンに分け、先行研究の基礎に基づいて、慣用二重否定以外の特殊な形式を分類したい、その語用的意を研究したいと思う。最後は二重否定は日本の文化にどのような影響を与えるているのかをまとめていきたいと思う。