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     昔から、日本人の自然観に関する研究がたくさん行われてきた。寺田寅彦は日本の自然を分析し、「日本人はこの自然に服従することによってその恩恵を十分に享楽する」 という観点を提出した。日本だけでなく、中国でもこの問題についての著作や論文がたくさんある。王玉芝、王雲紅は言葉、華道、建築、料理の四つの方面から日本人の自然観を考察した。「自然を生かした形で自然と共に生き、やがて自然に帰っていく」2という結論を出した。
     本稿は先行研究の理論を踏まえて、衣食住から日本人の自然観を具体的に分析する。
    第一章 日本人の自然観形成の原因
    1.1日本人の自然観
     自然観の基礎はその自然環境である。寺田寅彦は気候、地形、生物などの分野から日本自然の特徴を分析した。その結果として「自然の充分な恩恵を甘受すると同時に自然に対する反逆を断念し、自然に順応するための経験的知識を集収し蓄積することをつとめて来た。」3と言う。そこから見ると、日本人は自然を尊敬し、自然に従う傾向があることが分かる。
     そして、渡辺正雄は日本人の自然観について次のように述べていた。日本では、「自然」であるというのは「よいこと」なのである。「自然」という言葉が何か理想的な状態、ないしは望ましい状態を示すものとして用いられていることが多い。「自然」という言葉には、そういう肯定的な、プラスのイメージがある。例えば、「自然体」とか、「自然に生きる」とかいうのは、どちらかといえばプラスの価値を持っている。また、彼は西洋との比較を通じて、「西洋では人間が自然に対峙しているのに対して、日本では人間が自然の中にある。日本における自然は、人間と未分化の自然であり、しかも人間がその中に包み込まれている、いわば「甘えの構造」としての自然である。」という結論を提出した。4
     要するに、日本人は自然と対立するのではなく、互いに融和しあおうという自然観を持っている。

    1.2日本人の自然観の形成する原因
       日本は南北に長く、亜熱帯から冷帯まであるので、植物の種類に富んでいる。様々な植物の中で、桜が自然に与えられた最も美しい恩恵だと日本人は思っている。また、日本人の衣食住の原料は主に植物から生産される。そして、日本は中緯度に位置しており、気候がわりあい温暖で、雨が多いので、稲作の育成に適している。その上、日本は島国で、海に囲まれているので、海洋の資源も豊かである。だからこそ、日本人は自然に恵まれていると言える。
     一方、日本は自然の脅威に満ちていて、自然災害が頻発している。自然災害は地震、台風、洪水など多種多様であり、日本社会に莫大な損失をもたらす。日本気象庁によると、2003年に発生した1級以上の地震は2179次に達したそうである。地震が頻繁に発生するため、日本国内には併せて108もの活火山がある。激しく変えている自然に面して、日本人は深く自身の弱さと自然の強さを感じている。
    自然からの恩恵と脅威の影響で、日本人は自然を愛しながら、また自然を尊敬している。
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