でおしゃれな外見の男性のことではなかった。2009 年には、『最後の恋は草食系男子が持ってくる』を刊行して、「草食系男子」の概念を再定義した。2008年にもマーケティングライターの牛窪恵が『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』を刊行してから、草食系男子という概念は日本で大流行となり、「草食男子」2009年には新語・流行語大賞トップテンを獲得した。2009年、草食系男子という概念は中国に入って、「食草男」として報じられている。
実際に、日本の若い男性のうちのどのくらいの割合が草食系男子なのだろうかということに関して、M1F1総研が2009年 2月に首都圏の20~34歳の男性 1000 人を対象にして、インターネットで調査を行なった。20~22歳では、6割以上の人が自らを“草食系男子”であると考えているように、“草食系男子”自覚者の割合は年齢が若くなるにつれ増加する傾向にある。「恋愛に積極的ではない」と答えているのが62.8% である。深澤真紀の言うとおり恋愛やセックスに積極的でない若い男性が多くなっている。また、しらべぇという日本のサイトは2014年10月3日に「草食系男子なんて本当はいない?」という調査が行われた。20代~60代の男女計 1500人を対象にして、「草食系男子なんて実際にはいないと思う割合」という質問に対して、結果は、「草食系男子はいる」と思っている人は約8割ということである。つまり、現在、草食男子の割合は、日本でかなりの程度に達し、既に一般的な社会現象になったとも言える。その影響はゆっくりと広がり続けているため、社会の関心が高い。
本稿は、「草食男子」と「草食系男子」の概念を整理して、草食系男子の具体的な表現をまとめてみる。そして、草食系男子というの社会現象が発生した原因を探究し、草食系男子に関わる社会現象を分析してみる。さらに、世間からの積極的な評価と消極的な評価をまとめてみる。
2. 草食系男子について
まず草食系男子についての定義を明らかにする必要がある。本章は深澤真紀の「草食男子」と森岡の「草食系男子」を比較し、そして恋愛方面と消費方面から草食系男子の特徴を分析していく。
2.1草食系男子の概念
「草食系」に関わる用語が使用された最初の例は、コラムニスト・編集者の深澤真紀が2006年10月13日『日経ビジネス』のウエブサイト「日経ビジネスオンライン」に連載されたコラム「U35男子マーケティング図鑑」の中で「草食男子」と命名したものである。深澤(2007)は、「草食男子」を、『恋愛に「縁がない」わけではないのに「積極的」ではない、肉欲に淡々とした「草食男子」』と定義した。その時にはこの言葉に対する社会的反響はほとんどなかったのである。それからおよそ2年後の2008年に女性ファッション雑誌『non-no』(2008年4月5日発売号)において、深澤の監修の下「草食男子」特集が掲載されて大きな反響を得る。2008年7月16日に大阪府立大学教授の森岡正博が『草食系男子の恋愛学』を刊行した。森岡は「草食系男子」を、「新世代の優しい男性のことで、異性をがつがつと求める肉食系ではない。異性と肩を並べて優しく草を食べることを願う草食系の男性のこと」と定義した。森岡は、2009 年に、『最後の恋は草食系男子が持ってくる』を刊行して、「草食系男子」の概念を再定義した。「草食系男子」とは、心が優しく、男らしさに縛られておらず、恋愛にガツガツせず、傷ついたり傷つけたりすることが苦手な男子のこと」と再定義したため、外見がいかつい大柄な筋肉隆々の男性であっても、彼がこのような内面性を持っているならば、彼は草食系男子であることになる。いくら細身でフェミニンなおしゃれをしていたとしても、彼がこのような内面性を持っていないのなら、彼は草食系男子とは言えない。 森岡(2008)は「草食系男子」の種類について、次にように述べている。