3 中日ネコの辞書的意とことわざ意
ことわざは、人間の生活経験の知恵であって、今日でも日常生活の中に生きている。もともと、ことわざは普通の真理や真実を述べたもので、人間の行動の基準を教えることである。ことわざには確かに人生の真理をうがったものが多いが、そのうちに動物に関することわざも少なくない。人々は直接自分のことを取り上げてことわざを作るのが嫌いなので動物を借りて人間の行動などを表現する場合が多い。その上、ネコは家のペットとして、人間に親しまれているから、ネコに関することわざを中心に考察した。
ネコは犬と違って世界各地で宗教的、神秘的事象と結びつけられている。「枕草子」に「奥山に猫又といふ化物ありて人をくらふなる」という話が記されている。その猫又がだんだん増幅され、さまざまな怪談話となって語られている。近世の「有馬・鍋島猫騒動」が有名である。「源氏物語」では、猫が女三宮と柏木とをつなぐ重要な役割を果たしている。「猫」の字がつくことばには、猫いらず・猫舌・猫背・猫っ毛・招き猫などがある。1)