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幸子という人物は物語で欠けられない重要な役である。彼女は紫の上のような完壁な女性であり、他人との取り合わせの方面にも適当に処理している。彼女は本家の名誉と威厳を守りながら、妹たちの自由も尊重する。家族内部との取り合わせからいえば、幸子は父の心を読める妻で、親切で温和な母親と女中に優しい雇い主でもある。
花見は例年の行事として、作品の中で深い意味を持っている。
「そして、毎年春が来ると、夫や娘や妹たちを誘って京都へ花を見に行くことを、ここ数年来缺かしたことがなかったので、いつからともなくそれが一つの行事のやうになつてゐた。此の行事には、貞之助と悦子とは仕事や学校の方の都合で欠席したことがあるけれども、幸子、雪子、妙子の三姉妹の顔が揃はなかったことは一度もなく（後略）」
花見の時、幸子は「散る花を惜しむとともに、妹たちの娘時代を惜しむ心も加ってゐたので、来る年ごとに、口には出さね、少なくとも雪子と一緒に花を見るのは、今年が最後ではあるまいかと思ひ思ひした」 。谷崎潤一郎はここで雪子と妙子の娘時代を満開の桜に喩え、戻られない青春をもうすぐ散る桜と見た。特に雪子は「過齢期を過ぎた未婚の夫人にはしばある生理的現象」 のシミができた。そして、幸子は善良だ。
『細雪』でこのような「生活の定式」を守る役割を果たすのは幸子夫妻である。鶴子夫妻は旧家意識を離れて東京へ転勤して、もう経済人になった。幸子夫婦は蒔岡分家の当主として、本家と妹たちの関係を調節し、雪子の見合いを配慮し、妙子の醜聞をもみ消す。それとともに、本家が失った上方文化の「生活の定式」も期ちんと守っている。そして、幸子は善良で優しくて、日本伝統美の代表した。
2.3純潔な雪子
伊藤整に「かぐや姫」に喩えられた雪子は、船場の名門の娘であるという誇りを持ち、格式を重んじて、まるで平安貴族のようにおっとりしている女性である。この人物は一見、これまで谷崎が描いた個性の強い、派手な女性とは違って、内気な殆ど個性のないような女性ばかりでなく、彼女を取り巻く出来事も劇的なものではない。 唯一、彼女に直接関係する見合いも毎回、何か故障が起きて、結局、悪く言えば「因循さ」、よく言えば「初心娘の純真さ」ゆえ破談となるのである。「二日も三日も徹夜で看護して氷嚢や湿布を取り換える、というような仕事に、誰よりも堪えられるのは雪子である」 。更に、妙子が下痢を患った時、雪子も伝染を怖がらなく、介抱を担った。彼女は適当な人が出現しないで、強いて気の進まない人と結婚するなら、むしろ一生芦屋で過ごすという考えさえある。来!自~751论-文|网www.751com.cn
雪子の人物像と物語にクライマックスが存在しないという作品の特徴との一貫性を取り上げ、「日本の典型的な女性を描けば、写実的にこのような作品が結実される」 という必然性を指摘し、雪子なしではこの作品が成り立たないことを強調した。長期にわたる封建社会を経て、日本では女性の社会的地位が低く、従順さだけが女性の最大の美徳とされてきた。その後の明治維新は不徹底なブルジョア民主主義であったため、改革後も封建勢力は依然として存在し、『細雪』の時代も女性の社会的地位は根本的に好転していなかった。そのため、谷崎が描いた雪子はいささか従順なだけではないところもあるが、階級や家柄の観念に束縛され、自分の運命を将来の夫に託し、夫に従属せざるを得なかった。 雪子の結婚は愛情に基づく結婚ではなく、主に家柄、社会的地位、特に財産を条件としたが、これは雪子に自立する技能と経済的地位がないためである。作品は結婚が決まった雪子が上京する場面で終わるが、この描写は雪子の将来の結婚生活に哀愁、淋しさ、不吉の雰囲気をもたらし、雪子の不幸な運命を予示する。こうして、読者は雪子の変化に期待しながらも、雪子の結婚相手となる人物に興味を持って読み進めて行くのであるが、彼女の縁談が壊れた時、雪子が誰か一人の占有物にならず、無垢な姿でいることに安堵するのではないだろうか。彼女は「義兄達や姉達の意見が一致した時なら、何処へでも云はれるままに縁付く」 と言って、結婚のことを全部家族に任せて運命に服従するお嬢さんみたいである。だた「若く見え」「永遠の美しさ」を持っていて、「いつも結婚できない」 という雪子の特徴に触れている読者がいる。それに関する描写を探ってみれば、豊富なイメージが浮かび上がる。