第一章 妖怪の種類と変遷
1.妖怪の種類
1.1.「田舎」と「都会」
広い範囲で日本の民俗文化から伝われてきた日本妖怪の種類は「田舎」と「都会」の二つである。人の生産生活に繋がっていたところは「田舎」の妖怪の特徴である。妖怪が作り出された原因は人々が自分の安全を守り、荒野や夜のことを怖がるようにするためとも言われている。また、捨てたものや、亡くなった親戚への未練も一つの要素である。
「都会」の妖怪は人間の姿として生み出されたものである。現代生活に対する危機感と圧力はその原因だろう。現代における都会の犯罪行為は「都会」の妖怪の特徴である。
1.2.三つのグルーブ
妖怪の表現形式から見れば、三つのグルーブに分けられる。
第一グループは、まず悪霊や妖精のグループである。これらは大体が神話から生じたものや、昔の自然の神や悪霊が仏教の観念と合わされたものである。たとえば天狗、鬼などである。
第二グループは、魔力を持って人間の姿になることができる動物あるいは植物である。それらには善良なものも邪悪なものもいる。たとえば龍、虎などがそれに当たる。その他は狐、猿、猫などである。
第三グループは、死者の亡霊で、とくに歴史的な人物、伝説の人物の幽霊、地方伝説に現れる幽霊、そして歴史的あるいは伝説的な背景を持たないただの死者の亡霊である。
この三つの主なグループには、少なくとも歪められた人間の姿、また多くの幻想的な表現が含まれている。日本人は、これら疑わしいものを「化け物」という言葉で表している。
2.時代の変遷
井上円了の著書『妖怪学』によれば、「我国の妖怪は多く支那より入り来たり、真に日本固有と称すべきものは甚だ少なし、余の想定するところによるに、我国今日伝はる妖怪種類中七分は支那伝来、二分は印度伝来、一分は日本固有なるものの如し…」と述べている。しかし、妖怪文化をさらに発展する国家は、日本のみである。以下は各時代の妖怪文化の状況を簡単に紹介する。
2.1.大和時代
初期の神話と怪談は先祖たちが質朴なので、あまり平凡である。封建時代に踏み込むと、農耕したり、狩猟したりした終わりの暇なところに、人々が昔から伝われてきた伝説が口上で話し合い、そして再創作した。民間伝説はこうして作り出された。「人間の理解を超える奇怪で異常な現象や、あるいはそれらを起こす、不可思議な力を持つ非日常的、非科学的な存在である」と解読した。
2.2.飛鳥時代
多くの日本の妖怪は中国から伝わったものであったが、それに脚光を浴びさせたのは日本である。仏教は聖徳太子の宣伝の影響で、その思想が日本の妖怪文化に溶け込んでいった。そしてこの時期に、中国の怪談書類、たとえば「魑魅魍魎」が含まれる『山海経』、また先祖の魂に関わるお盆という行事も日本に伝わった。今のお盆は日本で元旦の次に盛大な行事である。
2.3.平安時代
平安時代は表面から見れば平穏で、文明的な時代であるが、王朝国家体制で、土地経営や人民支配などの権限はすべて貴族の手に有り、当時の日本は貴族を中心に動いており、争いばかりの汚れた時代であった。その時代に天災がよく起こり、さらに無能な公家もあり、「百鬼夜行」の思想が現れた。そうした妖怪に対抗するため、陰陽師 などの神職が現れた。
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