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まずは「枯、寂」に対する追及である。日本は海洋性気候に属し、あたたかくて湿っぽい。それで植物の成長周期も短い。このような生存環境は人々には短い人生を感じさせる。たとえば、桜はすごくきらきらと美しく咲いているときにすぐ凋落していく。つまり、きわめて美しい時に寂しいことも、始まるのである。日本人からして、美はいつもまたたく間に過ぎ去って、とらえにくいが、凝固してはじめてとらえられるものとなると思われる。だから、日本人は永久不変の渇望および凝固する美への追求が根強く、すばらしいものを儀式化、格式化させる傾向が強いのである。
日本の禅宗思想のもう一つの特徴は、無常観の経験を通じて心の安らぎを悟ることが特に重要視されているのである。日本は鎌倉時代（1192～1333）から江戸時代（1603～1867）までの数百年にわたり、真の実力は将軍と各地の大名の手に握られていた。長期の武家統治、幕府の統治、頻繁の戦争は人々によく不安を持たす一方、武を尊ぶことと武士道はまた人の心を統治し、国民の二面性を招ぐことになる。すなわち、平和安定な生活を求めるとともに、また戦って殺戮に追われるという極端性、対立性である。禅が日本に伝わった後、虚無をあがめ尊んで、心を静めて悟ることは日本人の安定への希望に合致するのである。