土居健郎は、「甘え」の起源について二つの仮説をあげている。
一つは、乳児の「ウマウマ」という語と係わりがあるという仮説である。彼の論述から見て、甘えその語は本来、赤ちゃんが母親に依存ほしい気持ちを表すことである。言い換えれば、赤ちゃんが母乳を恋うである。このような気持ちによると、乳=ウマウマで表現されるウマが甘えのアマへと変化し言葉として用いられるようになったという説である。
もう一つは、「天」のアマから来ているという仮説である。母親に依存ほしい感情はますますその対象を広げ、自体を恵んでくれた天であることから、「甘え」そのものが天の「アマ」から生みだしたという説である。
「甘えの構造」に「甘え」は日本特有のことばと土居にいわれた。「母親に依存ほしい感情」を表す言葉と述べ、そして「甘え」の語源を考えた。竹友安彦は、それに対し批判を出ていた。日本語以外の諸言語にも「母を求める気持ち」を表す語はあるとし、それを例にして、母そのものの呼称である「ママ」を取り上げている。