1.2 先行研究
東野圭吾の作品についての研究は多い。日本でも、中国でも、彼の作品に対する研究、書評などが盛んに発表されている。『僕たちの好きな東野圭吾』(别册宝岛编辑部,2009)、『東野圭吾の謎』(东野圭吾作品研究会,2009)など東野圭吾の芸術的特徴に対する研究書籍はどんどん現れている。このような作品は東野圭吾全作品、異なる時期の作風及び作品など、ざまざま分野から東野圭吾を紹介している。
日本国内では、東野圭吾の作品についての研究は近年盛んに行われているが、これらの研究は主に東野圭吾の有名な作品の面白さ、要素などに対する分析及び作品論である。和田勉(2013)は『東野圭吾論』という著作中で、東野の作品と生命科学の視点から東野の作品を分析する。狩谷新(2012)は『メディアミックスによる小説世界の変化:東野圭吾の主人公描写』の中で東野圭吾の人物描写に焦点を当てる。北村薰(1997)は東野圭吾が『別の形の本格推理小説を書いている』という意見を述べている。五木寛之(2009)は134回直木賞の選考委員として東野圭吾の作品について『推理小説的手法で人間描く犯罪を通じて人間を追及する作風』と指摘した。石原千秋(2009)も『読者はどこにいるのか——書物の中の私たち』という著作中で受付美学から東野圭吾の作品と読者の関係に対して詳しく説明した。大阪府立大学の若い研究者である堀江珠喜(2012)が『東野圭吾とエドガ・アラン・ポー』という論文で精神分析から『二重人格、ロリータ、コンプレックスと早すぎた埋蔵、理系的な発想や耽美性』という要素を指摘した。そして、堀江珠喜(2016)は『東野圭吾と猫』で東野圭吾の作品の中で登場しない猫や猫のような女など視点から東野圭吾の作品と猫の関係を分析して、東野が自分の言葉としては語ることを潔しとしない事柄も、猫の口を借りて堂々と発言できると思う。
日本では、大多数の学者は受付美学や精神分析から、小さい視点から東野圭吾の作品の特徴を分析している。そして、大多数の学者は総体から作品の特徴をしており、特定の作品から分析する学者は多くない。
日本の研究現状と同じように、中国でも東野圭吾の作品が人気があるので、東野圭吾の作品についての研究は少なくない。東野圭吾の推理小説について、特に『白夜行』(2002)という作品をめぐって研究を行っている学者が多い、例えば、王靖姝(2010)の“從《白夜行》看東野圭吾的創作”と牛丽(2010)の“従《白夜行》看東野圭吾偵探推理小説中的人性”などの文章がある。『容疑者Xの献身』は東野圭吾の最も有名な作品として、研究する学者が多い。たとえば、崔丹枫(2014)の“従《嫌疑犯X的献身》看日本女性的社会地位”、黄丽琼(2013)の“東野圭吾小说魅力探究——以《嫌疑人X的献身》為中心”などの文章がある。そのほか、全体作品から東野圭吾の作品を研究する人も多い。例えば、倪捷(2014)の“東野圭吾の社会派推理小説の特徴について”は代表的な意義がある作品を例に東野圭吾の小説の特徴を説明した。钟翔(2014)の“論東野圭吾作品中的死亡書写” は肉体死亡と精神死亡から東野圭吾の作品における死亡についての描写を分析した。しかし、『さまよう刃』についての研究は管見では見られない。
中国では、大多数の学者が有名な特定の作品から東野圭吾の小説の特徴を分析している。そして、受付美学から東野圭吾の小説が中国の読者の中に人気がある理由を研究している学者もいる。
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