②固体の中への移動 食い込む、擦りこむ
③流動体の中への移動 沈み込む、溶け込む
④隙間のある集合体または組織体の中への移動 編みこむ、紛れ込む
⑤動く取り囲み体への移動 包みこむ、覆いこむ
⑥自己の内部への移動 くぼみこむ、崩れこむ
⑦その他 見込む、のぞき込む
Ⅱ程度進行(動作・作用の程度が進行する)
①固着化 寝込む、黙り込む
②濃密化 老い込む、咳き込む
③累積化 歌い込む、煮込む
影山においては、後項動詞「~こむ」の意を方向性を表す場合と「すっかり~する」という意の補文関係に分けている。方向性の場合、「~こむ」が取る前項動詞を他動詞、非能格自動詞、非対格自動詞の三つに分けてそれぞれの意を述べている。先ず、前項動詞が他動詞の場合、「~こむ」が付くことによって、「叩き込む、押し込む」のように複合動詞全体が位置変化動詞に変わると述べている。次に、前項動詞が非能格自動詞の場合、「~こむ」は「駆け込む、逃げ込む」のように移動を表す前項動詞の到着点を強調する働きをする。最後に前項動詞が非対格自動詞の場合、「~こむ」は「流れ込む、転がり込む」のように前項動詞の継続を意すると言う。
2 単一動詞「こむ」について
複合動詞「V+こむ」の意用法を分析する前に、まず単純動詞「こむ」の意用法を研究する必要があると思う。現代語においては、単純動詞「こむ」が自動詞の働きしかないが、古語には他動詞としての意用法も見られる。そして、後項動詞「~こむ」は複合動詞の構成要素として、自動詞と他動詞の働きがある。自動詞として、「こんだ電車」などのように、人•物などがその場所いっぱいに集まて、混雑するということを表す。また、物事が細かく入り組むという意がある。他動詞として、具体的に次のように:
a こもらせる。入れて置く。つめる。おさめる。
例(1):弾丸を込める。
b 表面にあらわさないようにする。包みかくす。
例(2):塗りこめる
c 一つ所に集める。また、含ませる。
例(3):力をこめて手を握る
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