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    1.はじめに
     流行語は時代に応じて生まれ、一定の期間内に人々によく使われる言葉である。様々な領域から生まれた流行語は使われる期間が短いが、一種の言語現象としてその国の言語特徴の一部を表現できるし、社会の発展や変化をよく反映している。よって流行語の研究は言語学的価値だけではなく、社会文化的価値もある。
     本論文は日本語と中国語の流行語を比較し、両者に共通点と相違点があるのかを明らかにすることが目的である。2010年から2014年まで中国の雑誌「咬文嚼字」に発表された10つの受賞語と日本の「新語・流行語大賞」(2004年よりユーキャン新語・流行語大賞に改称している)に発表された10つの受賞語を研究対象とする。中日両国の社会事情や文化も考慮に入れ、由来、言語特徴、意特徴の三つの角度から中国と日本の流行語を比較してみる。
    2.先行研究
     日本は数十年も前から、流行語に関心を持ってきた。1984年から自由国民社が「新語・流行語大賞」を設けて、毎年12月最初の平日に表彰式を行っている。1984年に同社発行の『現代用語の基礎知識』には入賞語以外にも当節の流行語が記載されている。一方、日本の流行語大賞と同じように、中国でも「咬文嚼字」という雑誌が毎年「十大流行语」という評定を行っている。
      今まで流行語に関する研究はたくさん行われている。日本語に関する研究には、米川(1989)や谷肖梅、羅萃萃(2003)などがある。米川(1989)は新語・流行語の定義と作り方を検討し、その誕生の理由と特色について述べている 。谷肖梅、羅萃萃(2003)は日本の流行語の発生、伝播、構成、機能などを分析している 。
     中国語に関する研究には、王暁辰(2014)や徐佳(2010)などがあげられる。王暁辰(2014)は2008年から2012年までの中国流行語を研究対象とし、流行語の起源、意、主な特徴などを論じた 。徐佳(2010)は流行語に厳密な定義を行い、ここ数十年来の流行語をデータとして、現代の流行語の発生、構造、外部の条件を分析した 。
     中日両国の流行語に関する研究には、方海燕(2014)や余文雯(2011)などがある。方海燕(2014)は「社会のホットな話題の体現」と「ネットなどのメディアの影響が大きい」という中日両国流行語の共通点について述べるし、「日本の流行語は理性で客観的な傾向が見えるが、中国は皮肉で揶揄する言葉が多くて心理的で主観的な傾向がみえる。」という相違点をまとめている 。余文雯(2011)は、通時言語学の研究方法を使用し、中国と日本の1970年代から2011年にかけての流行語の一部を例としてあげ、国別で流行語の特徴を述べ、発生背景を比較した 。
     今までの研究を見ると、最近の流行語に関する研究はまだ少なく、特に流行語の由来、言語特徴の角度から中日比較するものはほとんどない。そこで本論文は2010年から2014年までの中日流行語を研究対象とし、両者の異同を分析し、比較しようとする。
    3.由来
     まず、中日流行語の起源について分析し、比較する。2010年―2014年の中日両国の流行語をそれぞれ表1と表2にまとめる。
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