目次
摘要... I
要旨. II
1.はじめに...1
1.1先行研究... 1
1.2研究動機... 1
2.安房直子の生涯概観と作品紹介 2
2.1安房直子の生涯.. 2
2.2作品紹介... 2
3.人物についての分析. 4
3.1主人公に現れた「善」について..4
3.2悪質な人物に隠された善について.5
3.3配役の善と悪について..6
4.人物における「善」の形成原因.7
4.1安房直子自身の経歴から..7
4.2時代背景から...7
4. 3安房直子が求めた人物の「善」8
5.おわりに...9
参考文献.10
1.はじめに1.1先行研究先行研究を調べると、中国では、潘阿恵は『安房直子童話の色彩美についての論』1の一文の中には、安房直子童話の中に現れた様々な色について、分析して、その原因を安房直子自身の経歴からまとめた。張玉蓮は『安房直子のファンタジー世界の探究』2の一文のなかで、安房直子のファンタジー世界を主な探究ポイントとして、あの奇妙な世界の内面を示した。日本には、安房直子の作品を研究することも少なくない。大宅由美は『安房直子とその世界』3の一文の中で、安房直子童話のファンタジーについていろいろの評論を引用して具体的に分析した。五つの作品を分析し、安房直子自分の経歴と結んで、以下五つの特徴をまとめた。「①色のイメージが鮮やかに描かれ、絵画を見ているようだ。②歌が効果的に作中に出てくる。③死者、あるいは死者の国との交流が書かれている。④料理に関するところは、特にくわしく書かれている。⑤動物もの、などがあげられる。」4筆者は本文において、主に『きつねの窓』、『鳥』と『ハンカチの上の花畑』を探究対象として、安房直子の生涯体験と時代背景を考えて、彼女の作品の中の様々な人物の善悪を分析する。そして、安房直子はあの時代におけるどのような人間性の善を信じていたことをいっそう探究する。
1.2研究動機筆者は子供のとき、日本童話を読んだことはほとんどなかった。あらかた『グリム童話』、『千一夜物語』、『アンデルセン童話』など西欧の物語を読んでいた。そして、それらの童話には、極端な両面性を表した。善人と悪人の区別ははっきりして、最後に良い人は必ず幸せに暮らしたが、悪いひとは残虐な罰を受けた。子供のときには、これが間違いと思わなかった。しかし、年をとりつづけている今、なんとか怪しいと感じた。大学三年生のとき、偶然にネットで安房直子の童話を読んだ。いままでにない優しさを感じた。「あ、それこそ童話だなあ。」という気持ちが心からわいた。それから、安房直子のいろいろな作品をさがして、読めば読むほどあの柔らかさを感動した。普通な人間世界に隠されたファンタジー世界へのドア、奇妙な妖精動物、美しい景色、彼女の作品は魔法があるように、筆者を引きつけて読む。安房直子の童話世界に咲いた花はひっそり筆者自身の心でしっかり根づいた。その時、卒業論文の題目を選択し始めたので、安房直子童話を探究するつもりであった。2.安房直子の生涯概観と作品紹介2.1安房直子の生涯安房直子は2歳のとき、養女として東京から高松に転校した。そのあと、小・中学校時代は各地方都市に移り住み、どこに行っても転校生扱いで友達ができなかった。彼女はそのような話を書いたこともある。「私は小さい頃から大変大人しく、友達と元気に外で遊ぶことはなかった。活発で明るい子どもが本当の子どもというのなら、私はそういう子どもではなかっか。健全でない子ども時代だった。」5安房直子の寂しさは子どもの頃から人生のなかに根ざしてしまったかもしれない。彼女は子供のときに『グリム童話』がとても好きだった。大人になっても何度も読んだことがある。『グリム童話』の影響で、彼女はファンタジー小説を没頭してしまった。安房直子は養女で、作品の中に哀れな気持ちが溢れているという推測がある。