ことわざはまた、時代の変化とともに変わる。昔あったことわざが今では使わなくなったり、ことわざの意が違ったりすることもよくある。昔と今のことわざの比較を通じて、社会の変化、人間の生活様式・思考様式の変化などが分かる。だから、女性に関わることわざの変化から、女性像の変化が窺える。
そこで、本稿では、女性に関することわざにおける日本の女性像の変化と変化の原因を研究したい。
まず、先行研究を紹介する。次に、ことわざについての文献を調べ、女性に関わることわざを取り上げる。そして、それらのことわざに昔と現在の認知を分けて、女性像の変化を分析する。最後、社会、文化二つの面から女性像の変化を引き起こした原因を説明する。
2. 先行研究
2.1 寿岳章子の分析
日本の寿岳章子氏は「言語と社会の間には密接な関係がある。その言語を所有している社会のさまざまな特質は、しばしばその言語に見事に反映する。その社会を支える人たちの思想、美意識、あるいは社会の仕組みの特長、そんなものもそのことばを見ればよく分かることが多い。」と述べた 。言語は社会という仕組みを通して、人に大きな影響を与える。人の思想に与えられる影響は二種類ある。一つは言語から直接的な影響を受けること。もう一つは、社会という構造から受ける影響である。しかし、社会という構造、言語というシステムは互いに影響し合っているので、人が受ける影響は単純に二種類に分類することは難しいといえるのかもしれない。 寿岳は「女らしさとことば」と「日本語と女の暮らしとのかかわり」二つの項目を通じて、『日本語と女』を分析した。『日本語と女』において、日本の女性の様々の問題とことばとのかかわりを、今述べたことばと社会のかかわり方の二面を通して見た。「女性らしさ」という方が何かを訴えているようである。時には、この「女性的」ということばは「女性の欠点」と主観的にみなされているような一種の特性、すなわち虚栄心が強い、ウソつき、人の言うなりになる等の、いわばマイナス価値に結びつくことがあると述べた。女性の行動について回る「女らしさ」という言葉のイメージは、作法をきちんと守ったり、上品に振る舞うといった、女性に求められ、重視されている行動規範の役割を果たしている。これらの「レッテル語」は男性に比べて女性に対するものがはるかに多い。女性がいかに社会から行動を制限されているかが見て取れる。寿岳は『日本語と女』の「ある農村婦人グループのたたかい」の中で、女性像についてのことわざを列挙しながら、「女の賢いのは知れている」「女ははかないものだ」「女は汚れた存在である」「女は執念深い」「女はすさまじいおしゃべり」などのマイナス的な女性像をことわざから洗い出して分析した。
2.2 中国の劉金鑫の分析
ことわざにある日本の女性像について、中国の劉金鑫氏が『透过谚语看日本传统女性形象(ことわざから見る日本の伝統的女性像)』に分析した。それも「お喋り及び口の軽いもの」「愚かなもの」「嫉妬深く心狭いもの」「陰険なもの」「弱いもの」「変わりやすいもの」「不浄の物」「その他」などから、ほぼ全面的にマイナス的な日本女性に対する認知を述べたものである。
3. 日本語のことわざにおける女について