ようやく満開の桜も散り始めた。今春は寒暖の温度差の激しいなか、とりわけ花見の宴が隆盛だった。世の中を不況や雇用不安が覆うなか、古い日本を軽蔑するはずの若者たちが、桜の下にビニールシートを敷き、酒を飲んで気勢をあげる風景が幾多見られた。一気飲みを皆ではやす風景は论文网、はた目には自暴自棄、ヤケッパチ行動に見える。外人観光客たちの違和感をかきたてる光景でもある。(『日本人の死生観』単行本 1998-6)
古来より、桜は特に日本人に親しまれている。日本の国花である桜は「大和心」を象徴している。日本人は、桜が蕾みから満開、葉桜になるまでみんなで楽しむのである。しかし、桜の開花期はすごく短いものであるため、絢爛たる姿で世間に見せる時もすぐ散ってしまうことを迎える。まさに日本語の諺である「命の露」のように瞬時に消え失せてしまうものである。日本には「花は桜、人は武士」という諺がある。開花期が極短い絢爛たる桜と勇ましい「切腹」とつながる武士を評価する対象とすることは生死を軽くみる一方、美の極致を命の追求とする死生観をいきいき表現している。日本人は人生が桜のように絢爛的な姿を表すから、死の時も桜が枯れるように同じ姿がほしいと思う。それは生は絢爛の桜の如き、死は散る桜の如くの日本人の特有の死生観である。(宋会芳 『从赏樱透视日本人的生死观』)
1.2 本稿の目的と方法
桜は日本の国花として日本人に愛されている。花見の時期、桜の下でお酒を飲んだり、話をしたりするのは実に楽しいことてある。しかし、散る桜には死のイメージがある。桜は日本人の死生観と関わっている。では、桜が日本人の独特の死生観にどのような影響をおよぼしているのか。
本稿では、まず、先行研究を紹介する。そして、桜の文化についての文献を調べ、日本人の死生観についての資料を整理し、分析する。最後に、桜の文化が日本人の死生観に与えた影響を探り出す。